通ってきた道を戻って行くと、右折方向に登っていける道があった。
そこで右折し、坂を上がり、景色のいい峠のような道をグイグイ進んでいく。
この道、今日一番楽しいかも。

進むこと十数分、どうやら高台にある観音様のようで、そこから松島湾を一望できた。






「さっきの所より、こっちのほうが景色は良いな」と喜ぶS氏。


S氏撮影。


オレも撮ってもらいました。

寒さが迫ってきているので、早めに移動。
まっすぐ帰るのかと思ったら、寄り道。
行きがけ、S氏がその横道を意識したのが分かっていたので「あぁ、寄るんだな」と思い後をついていく。

曲がりくねった細道を進むと、地元の人しかいない穴場のような場所に着いた。
小さな湾になっており、砂浜も若干ながらある。そこでは数人の地元の人っぽい人たちが投げ釣りをしていた。

釣り人の後ろを静かに通り、ガードレール脇にバイクを駐車。
「どうよ、このロケーション!」と鼻息を荒くするS氏。
「いいっすね〜」とオレも興奮し、二人で写真を撮りまくる。


松島湾とパリダカとユーロ。


上記プラスS氏。


オレ。


撮影中のS氏が「コレ面白いよ! サングラスにバイクが写ってる!」と言いながら興奮気味に撮ってくれた写真。

おぉ〜、写ってる写ってる。(ww


逆光カッケェェェ〜〜〜〜(>w<)とか言いながら撮影。


同じくS氏。
しかし逆光が酷すぎ、何も見えません。orz


ひとしきり写真を撮った後は、その道をそのまますすんでぐるっと回り道をするような形で元の道に戻った。
あとは仙台へ向かい、途中で高速に乗って東京方面を目指す予定だ。

しばらく進み、松島の観光ムードが薄れて仙台の街という感じになってきたあたりで信号にて停止。
すると右手方向にイエローハットが。
松島でS氏が「どこかで携帯空気入れ買いたい」と言っていたのを思い出し、前方で同じく信号待ちをしているS氏にイエローハットがありますよ、と教える。
早速寄っていこうと言うことになり、バイクを駐車場に乗り入れた。

店内で買い物を済ませるS氏を置いて、オレはトイレ&コーヒー補給。
店を出るとS氏はパリダカのリアタイヤの空気圧をチェック。
後で聞いた話だが、道中ずっとタイヤの事が気になってしょうがなかったらしい。
そりゃそうですよね・・・。



とりあえず空気圧に異常はなかったが、こういうパターンではごまかしているウチに症状が悪化してごまかしが利かなくなることが多いので、帰りも100km/hくらいでいくから、とS氏から言われ、そのペースの方がオレも楽です。と答えた。

イエローハットを出て、仙台市街へ。
おそらく仙台港北ICから仙台東部道路へ上がったと思う。

曇り空の下、遠く霞んで見える山々。<多分、蔵王山(後で調べた)
その峰々はここからだと彩度の低いブルーグレーに見える。
空気の効果により、遠く離れたものは彩度が低く見えるのだ。
連なる山、そのブルーグレーと、もうすぐ降りてくる太陽のオレンジ、この二色が混ざり合った景色が脳をしびれさせる。

今日見たどんな景色よりも一番美しい。
ゴメン、五大堂、人間が作った古い建物にはピクっともこなかったけど、こりゃーすげーワ。
この瞬間にだけ見える、目の前の景色。
写真にしたら陳腐なんだろう、多分。
その瞬間、見えた全て、人間の目の素晴らしい機能によって補正されたそれと、その時のオレの気持ち、全てが組み合わさってこそ、この景色は輝いて見えるんだナァ・・・。

幸い、周りに車がいなかったので、ウエストポーチからデジカメを取り出して撮影しようかと思ったが、何より危険だし、きっと写真に撮ってもオレの感動は切り取れないだろうと思い、ウエストポーチのファスナーにかけた手をハンドルに戻した。

さぁ、帰ろう。
住み慣れたオレの巣まで、あと400キロメートル!


仙台東部道路から東北道へシフトし菅生PAで最初の休憩。
周りにもバイクが多い。
いかにも長い年月走ってますと言う風貌のライダー達は、みな太った身体に厚手のライディングスーツをまとったオッサン。
2〜3人のグループが多く、それぞれかたまって休んだり、タバコを吸ったりしている。
我々も似たようなものだ。



ここでオレは装備を最大限にした。
つまり、革ジャケの上にコートを着、革パンの上にオーバーパンツを履いた。
唯一グローブだけは革グローブのままにした。
目が疲れてきたのでコンタクトを外し、眼鏡に戻した。同時にサングラスも本日の使用は終了。・・・これが後で大失敗。
ここではそのほか、お土産も買った。職場、自宅、おじいちゃん&おばあちゃん用。それだけで6000円オーバー。なんだかなぁ。

S氏との打ち合わせで、次は那須高原に停まろうということになった。
ほどなく出発。

上りの東北道は若干混んでいて、行きとは違い沢山車がいる。こういう状況が一番神経を使う。
流れが遮られるほど混んでいるわけではなく、100〜120km/hの間で全体が流れている感じ。

S氏も100km/h程度のペースなので、S氏が先行、あとをオレが着いていく形で走った。
日暮れ前、冬の低い太陽からうける日差しが目にまぶしい。
普段は「なんでこんなプラッチックのサングラスが、2万も3万もするんだよ?(笑」と笑っていたオークリーのサングラス。・・・外してみて分かった。さっきまで全然まぶしくなかったのはまさにその性能のおかげだったというわけだ。
教訓5:せっかく持ってるんだから日が落ちるまではサングラスを外すな。

那須高原PAはまだだいぶ先のはずだが、そろそろユーロのガスは限界に来ていた。
ガスを入れないでこのまま無理してガス欠・・・とかは避けたい。
しかも走りながら燃料コックをリザーブにひねる技をオレは習得していない。

我々は安達太良PAに近づきつつあり、やがて「安達太良PA 2km」の表示が現れた。
S氏は50mほど先を走っている。
このままではS氏は安達太良に入らず、スルーしてしまうかもしれない。
なんとか彼の前に入り、安達太良PAに入る意志を示したかった・・・が、車列に阻まれそれはかなわなかった。
モタモタしていたら間に合わなくなる・・・それはヤバイ。
S氏の前には出られそうにないので、その場ですぐに左側車線へ移る。
安達太良PAに入りたい人が多いのか、左側車線にはあまり空きが無くなっていた。
少し強引に割り込んだ気がしたので、軽く左手を挙げ、振り向きかげんで会釈をした。
う〜ん、我ながら、なんか自然にこういうことが出来るようになったってのは進歩なんじゃないの〜??!!(w

オレがS氏の後ろに入ったのは、残りあと1kmくらいの地点だったと思う。ちょうど、オレが左ウインカーを出したのに気づいたのか、はたまた彼も入りたかったのか、同時くらいにPAにはいるべくS氏もウインカーを点けた。

安達太良PAにはいると、オレはそのままガソリンスタンドへ直行。
おそらくS氏は二輪駐車スペースで待っていてくれるだろう。
この時、ガソリンを入れてカードで支払いをしたオレは、ユーロに「33リッター」給油された気がした。
カードで支払ったため、代金はノーチェック。
その後、S氏と合流。
「いや〜、オレも入りたかったんだよ、オシッコしたくてさ〜」と笑いながら言う、S氏。
そうですか。偶然とは言え、良かった。・・・この時「もしベストコンディションのS氏が先行の時に、オレがPAに入りたくなったら、相当前でS氏を追い抜かなきゃいけないんだな」と思った。
教訓6:予定外のPAに入りたくなった場合、無理なく先行車を追い抜くため、けっこう前でアクションをおこさねばならない。

話しの流れで給油の話しになり、誇らしげに「33リッターも入ったんですよ」と言うと、S氏が「そんなに?! 13の間違いじゃないの???」と驚いて聞き返してきた。
内心、自分の見た「33」というカウンターに自信がなかったオレだが、さっき見た物の記憶も無いのは恥ずかしいと思い「いえ、33なんですよ」と答えた。
「じゃぁ、5000円以上かかったでしょう?」とS氏が聞くので、値段はまるで意識の外だったにもかかわらず、オレは「まぁ、S氏が言うんならそうなんだろう」と判断し「はい」と答えてしまった。

するとS氏はユーロを見て「あのタンクそんなに入るんだ? へぇ〜・・・」と感心していた。
「じゃぁ、ユーロのタンクって容量35リッターくらい?」
「えぇ、多分」
「オレのパリダカで45リットルだよ。あんなにでかいのに。」
「ユーロは長いですから・・・」
なんて、オレは子供のように「推量(ウソとも言う)に推量を重ねた会話」を展開した。

・・・後になってびっくり。
なんと、このツーレポを書くために伝票を見たら「11.6リットル」だった。
なんで「33」なんて数字を思いついたのか・・・。
しかもユーロのタンク容量19リットルだし。orz
「あの時、そんなに集中力を欠くほど疲れてたんだね〜」とS氏に指摘される。
すみません、流れに任せてウソついて。マジで33リットルだと思ったんです。スミマセン
ちなみにパリダカのタンクは正確には35リットルだそうで、たしかにあのでかいタンクとユーロのタンクが同じ容量な訳ないよな・・・。(^^;

この時、S氏が「すぐいける?」と訊ねてきたのでオレは「大丈夫です。」と答えた。
自分では大丈夫のつもりだったが、後から聞いた話だと、この時S氏は「疲れてそうだナ・・・」と判断し、休んでいくことに決めたそうな。

それとは知らず、缶コーヒーを飲みつつS氏の話につき合うオレは、S氏が支度を開始するとそのスピードについていけず、いつも彼を待たせることになり「遅い〜」などと怒られるハメになるので、今回はそうはさせじと立ったままの臨戦態勢でいたため、肝心の話しの方は上の空だった。
そう言うときは言って下さると助かります。・・・とはいえ、ほとんどの場合上の空なんですけどね。(汗

そんなオレの内情を知る由もなく、 なかなか立ち上がらないS氏。
しかたが無いのでオレも同じベンチに腰掛け、休憩をとった。
結果的に身体も休められたし、良かった良かった。

その後、「このあとペースがあわなくてはぐれるようなら置いていって下さい」と言ってあったので、安達太良PAを出た我々はあっという間にバラバラになった。
オレの方はしばらくS氏を追いかけていたのだが、集中力を失い、周りに車も多かったので無理しないことにした。

S氏もどうやら自分のペースで行くことに決めたらしく、こちらに注意を払うことなく消えていった。
普段なら「置いていって下さい」「わかった。置いていく」という約束をしても、ちゃんと面倒を見てくれるS氏も、今回はパンクという恐怖に取り憑かれ、とても疲れていたと言うことだ。さっきの安達太良PAでの会話でもでてきたのだが、本人自身「今日は精神的に疲れてるみたい・・・」と漏らすほどであった。
このツーレポを書くにあたり、S氏の話しを聞いてみると、どうやら往路での高速道路利用中にオレの視界から消えている間、3回も空気を入れ、さらにオレと菅生で会ってから先に高速を降りて仙台南の出口で1回空気を入れたと言うことだった。
その後、GSの脇でチューブのチェックをするもパンクの穴は見つからず、以後、ずっとリアタイヤの不調を待ちかまえながらのツーリングとなってしまった。
イエローハットで新しい足踏み式空気入れを予備として買ったのも、上記3回の使用でそもそもボロかった空気入れがいよいよ壊れそうだったためであり、そう言う意味で今回のツーリングはS氏にとって妙に気を使う旅だったというわけだ。
ベテランライダーであるS氏でさえこのように色々とタフな目に遭う強行ツーリング、これがもし自分の身に降りかかったとしたら・・・考えただけでも恐ろしい。
せいぜい、初心者のオレは先祖の霊に「守って下さい」と祈りを捧げようと思う。・・・(-人-)ナマンダブ

S氏と離れることは、オレにとって雛鳥が親鳥を見失うくらい心細いことだが、一人になったからと言って事故ってたらそれこそ申し訳ないので、気を引き締めていくことにする。
自分のペースで、ゆっくりと行こう。帰りに最後、矢板北PAで合流しようと決めてあったので、会えるとしたらそこだろう・・・このペースじゃ、会えないかもしれないけど。(^^;

闇が降り、車のテールランプが連なる。
ところどころで渋滞が生じ、時に停車するほどの混みっぷり。

安達太良PAに入る頃には痛み始めていた左足、その左足の痛みが激しくなってきた。
運転しながら足を伸ばしたりしてみるが一瞬は回復してもすぐまた痛む。
お腹も減ってきたし、トイレにも行きたかったので、結局那須高原PAに寄ることにした。


時刻は午後6時45分。
当然、駐車場にS氏の姿は無い。

トイレで革パンをあげるときに力を入れすぎてしまい、右手首の限界を超えてしまった。
2日前から右手を痛めないよう気をつけていたのだが、つい急いでやってしまった。
今後は、気をつけなくてはならない。
教訓7:旅の間も手首のケアは重要。気を抜かない。


PAではレストランに入ろうと思ったが、食べようと思ったメニューが「品切れ」になっていたので軽食コーナーにシフト。
味噌坦々麺を食べた。
目の前の席に10歳くらいの女の子が座った。彼女はショウガ焼き定食を食べていた。
美少女・・・とまではいかないが、二重でぱっちりした目とスッと細い鼻筋、頬から顎へのラインも繊細な感じでなかなか可愛らしい子だった。
「どう、旨いか?」その隣から声をかけたのはどうやらお父さんらしい。
フト視線をそちらへ移すと、生き写しのようにそっくりだった。
「あはは。オレも娘と旅行とか行ってこういうところにいたらこう思われるんだろうナァ・・・」などと考えていると、そのお父さんに呼びかける声が「これ、おいしいかい?」。
今度はお祖母ちゃんらしき声だ。見ると・・・これまたそっくり。(^^;
三代しっかり遺伝してる。二重、細い鼻、細い顎。

夕食を終え、グローブを防寒用の厚手のものに換え、再度出発。
すぐまた足が痛くなる。
同時にさっき痛めた右手首が痛くなってくる。
渋滞もやはり酷い場所では停まってしまうほどだった。
時折すり抜けなどをするが、基本的には車の後ろに並んでおとなしくしていた。
足をぶらぶらさせたり、痛む手を休めたり。

当然ながらS氏はおらず、完全な一人旅である。
心細くはあるが、自分のペースで走れるのは楽だ。
今回はS氏もタイヤに不安があり、オレにかまっている余裕もないだろう。
お互い離ればなれになって自分のペースで走るというのは、いわばなるべくしてなったといったところか。


矢板北SAについたのは午後7時20分。
S氏の姿はない。
約束はしていたが、オレは飯も食ったし1時間近くも待ってるはずがないわな。(w

コーヒーで身体を暖める。
休憩を多めにとり、足の痛みが充分に引くのを待って出発。




SAを出たはいいが、すぐに足と手が痛くなる。
我慢して急いでもしょうがないので、佐野PAにて休憩。時刻は9時16分。
ここも混んでいて、入り口は車の列。
急いでも渋滞なのでゆっくり休むことにした。
バイクスペースの側で、缶コーヒーをすすりながら脚をほぐした。

ユーロを停めてあるバイクスペースを見ていると色んな人が通り過ぎるのが見えた。
赤ちゃんを乗せたベビーカーを押している若い夫婦。
ビッグスクーターのカップル。
アメリカンのお兄ちゃん。
爆音仕様の古いレプリカタイプの男。

バイクに乗ってきた様子でない若者達数人のグループが、オレのユーロに近づいた。
しげしげと見ていた一人の男がCX-EUROのエンブレムを見て、「CXだって」と残りの連中に振り返って言った。
「あはは〜、CX???」って、お前ら、何が言いたいの???
まぁ触ったりしなかったので、良し。

今度こそ、脚をじっくりいたわってから出発。
佐野は出口方向に進みながら給油するようになっているので、出口付近で給油。
本日4回目。9.95L。
あとはノンストップで帰りたい。

佐野PAを出た後も渋滞は続き、いくらかゆるんできたのは利根川を過ぎた辺りから。
加須・・・久喜・・・岩槻・・・。
手足の痛みもあるが、首と肩もだいぶこってきた。
それとともに目の疲れが激しく、テールランプが全て滲んで見える。>**  ** こんな感じ。
眠くは無いのだが、意識がゆるんでくる。
集中力を高めるために、歌を歌ったり、「一人パナキ」をやったり。
岩槻・・・霧・・・リス・・・スイカ・・・カニ・・・肉・・・鯨・・・ラッパ・・・パナキ!
フィット・・・鳥・・・リス・・スイカ・・カニ・・肉・・鯨・・ラッパ・・パナキ!
浦和・・・割り箸・・・尻・リス・スイカ・カニ・肉・鯨・ラッパ・パナキ!
パナキ・・・霧・リス・スイカ・カニ・肉・鯨・ラッパ・パナキ!
パナキ・菊・鯨・ラッパ・パナキ!

やっているウチに浦和へ到着。
料金を払ったら、もうすぐ外環だ。
見馴れた風景・・・やっと帰ってきた。あと30分で家に着ける。

外環に入り、三郷南出口で降りる。
左折して松戸方面へ。
だんだん緩んでくる気を引き締め直し、流山街道から自宅へ・・・。

午後10時40分、やっと帰宅。

今日一日の走行距離「785km」。

手足が痛いが、疲れは思ったほどでもない。
しかし、今夜はぐっすり眠れそうだ。

教訓8:旅行メモは超重要。できればもっと綺麗な字でなおかつ細かなタイミングで書こう。
教訓9:PAなど、停まった場所、休んだ場所では停まった瞬間の時計と、出発時の時計を撮影のこと。



後日、S氏と会った際に走行距離の話しになった。
S氏「結局、あの日は全部でどのくらい走ったの?」
ドボ「785キロです。三郷で降りたあたりでそれだったんで、Sさんの真似してあと15キロ走って800キロにしようかとか思ったんですけど、集中力も無くなってたし、事故ったら全て無駄なんでやめました。(^^;」
S氏「お〜、行ったね〜。オレはあの日649キロで、この距離は自己記録かもしれない。どっちにしろ800キロ近くは絶対に走った経験無い。凄いね〜」
ドボ「・・・(w)」

オレはその時、ニヤっと笑みを返しただけだった。
しかし、S氏も未体験の走行距離に達したと言うことで、内心けっこう嬉しかったのは内緒の事実である。



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