台風直前燃えたぎる血潮を抑えきれないよ
真夜中筑波山“爆走”ツーリング

2004年8月27-28日 金〜土曜日



そもそも、間違いなんじゃないだろうか?
8月28日に群馬ツアーを計画していた我々は、出発を明日に控え、意気が上がっていた。
台風が迫るその日、S氏からの電話。
「明日、どうする?」
そう、台風による天候の悪化が危ぶまれるため、モンキーでの長距離走行に不安がつのる。
本来、雨天走行はけっこう好きだと言うS氏もモンキーでは電気系のトラブルが予測されるため、嫌だという。

群馬へ行くという今回の計画、その目的とは群馬のバイク屋で「プラネット」と「メッキモンキー」を見て、帰りがけに宇都宮のバイク屋でBMWのバイクを見るというものだった。
が、しかし、その目的はあくまでも表の目的であり、いわば大義名分のようなもの。
誰に対しての大義名分なのかはさておき、裏の目的は「とにかく走りたい」なのであり、さらに言えば私の目的は「400km走る」なのであった。
その為に綿密なスケジュールを組んだのだが、いかんせん、この台風。
やむを得まい・・・前日に準備をしながらそんな風に諦めかけていた。
S氏と相談し、28日の午前中に私がモンキーで彼のウチへ行き、そこから車で宇都宮のバイク屋へ行こうということになった。
私だけは帰り道で雨に降られるかもしれないが、後に控える「どうかしちゃったツーリング」のために、ここらで雨天走行も練習しておいた方がいいだろうと、S氏からの「優しい試練」であった。
出発を明日に控え、計画の変更をニョウボに告げ、夕飯を食べ終わる頃、電話のベルが鳴った。

電話口のS氏から出た言葉は、「今夜のウチに遊ぼうよ」。
え、夜の8時ですよ?
「何時頃出られそう?」
「10時には出られます・・・」
「じゃ12時前にはウチにつくね。遊べるジャン」
「え〜と、明日、午前中にそっちへ行って、車で宇都宮のバイク屋へ行くというはずじゃ?」
「それじゃ、オレは車の運転だけジャン! オレはモンキーで走りたいの! 遊びたいの!!」
「わ、わかりました。」
「じゃ、10時になった時点で来られそうなら電話ちょうだい」
「ガチャ・・・ツー、ツー、ツー」

おさまりがつかないのは私も同じ。
こうして、台風直前の真夜中筑波山ツアーは突然幕を開けたのだった。

夜9時、娘を風呂に入れ終え、出発の準備をする。
雨具と換えのグローブ、S氏から事前に用意するように言われたウインカー等の電球類に、サイフと事故った時用の保険証などをバッグに詰めた。
寒いといけないので、ジャケットにはインナーをつけ、中に着るシャツも一枚携行することにした。
これにて装備は万全。
娘をニョウボに任せてせかせかと寝室を後にする。

台風が来るからって、遊びを前倒しでやろうなんて、そもそも間違いなんじゃないだろうか?
オレらはバカなんじゃないだろうか?
そんな雑念が頭をよぎるが、無視して靴をはき、外に出る。

夜10時、自宅玄関前でS氏に電話。
「これから出発します。」
この日のために新しいデジカメを買い、そして気合いを入れるためにホンダのライダースジャケットも買った。
プロテクターの入ったジャケットのジッパーを喉元まであげると、気分が高揚してくる。
台風前のもったりとした夜気のなか、モンキーにかけたカバーをとる。
昼間磨いておいたモンキーのタンクが玄関ライトを反射してピカピカと光っている。
自分のモンキーを見るだけでワクワクしてしまう。

メーターを確認すると2912.1km。これからどこへ行くのか、どれくらい走るのか、この時点では不明。
不安はないが期待は膨らむ。とりあえずS氏宅まで約60km、頑張っていこうじゃないか。


順調に6号線を北上し、呼塚の交差点を過ぎた先で左に入る。
新大利根橋を渡るとその先は守谷だ。294号線を更に北上。
夜の11時と言うこともあり、車は少ない。

強風の中すすんでいくのだが、ジーンズの裾がバタバタしていけない。
教訓1:裾のバタバタするパンツははかない。
その上、北上するに連れ寒さが厳しくなってくる。8月だというのにホットコーヒーが飲みたくなるくらい寒いのだ。
いったん停まって、持ってきたシャツを着る。思った以上に暖かい。
しかし、走り出すとバタつくジーンズの裾から寒さが忍び込んでくる。
靴も普通のスニーカーであるため、くるぶしの辺りが吹きっさらしになるので、そこが寒いのだ。
教訓2:できれば次回はライディングブーツを買って履こう
出発前、ガソリンが半分ほどしかないと分かっていたが、S氏宅にもっとも近いGSで給油すればいいと思って地元では入れていかなかった。
しかしそのGSについてみると、大津さんの弟みたいな人に茨城弁で「今ぁ、機械壊れちゃってぇ、20分くらい入れられないんですよぉ〜。」と言われた。
む、しょうがない。何とかなるだろう。
大津さんの弟に別れを告げ、先を急ぐ。そこから20分ほどでS氏宅に到着。
あ〜、寒かった。

S氏のガレージの中と周りに彼のバイクがゾロゾロと並べてある。

これは彼の青モンキー。


スッとした美しさで魅了するビモちゃん。


BMW R51/3 1954年生まれの古いバイク。


ホンダのCM125とCRM80。

このほかにエリミネーター900とか、色々置いてあるが、それらはまたの機会に。
ここまでの道のりでちょっと疲れたので、休憩がてら少し遊ぶことに。

ビモータに跨って記念撮影したり、彼のモンキーに乗ったり、CRM80に二人乗りしてキャッキャと騒いだり。
夜中にこんなことやって、近所のみなさま、すみません。

私の元気も半分くらい回復したので、改めて出発することに。
私が「ズボンの裾がバタバタしてダメですね、こういうジーパンは」とグチ混じりに言うと、裾を押さえるバンド金具を貸してくれた。
私の足首にはちょっときついようにも思ったが、コレが、乗り出してみるとすごくいい感じだった。
それと、近所のGSがダメだったので、出発前にS氏のエリミネーターからガソリンを分けていただく。
ガソリンを入れ終わった後、「すみません、お金払いますか?」と確信犯的に聞いたら「いいよ、別に、2、300円でしょ」と太っ腹な答え。
やったぁ!と思っていると、あとでコーヒーをおごるように命ぜられる。
えぇ、もちろん、私がタダでガソリンをもらっては心苦しかろうというS氏の優しい配慮である。
教訓3:おごりとはいえ、お返しをするのが当たり前の流儀。
さて、ガソリンも満タンになったところで、出発、出発。

海でも行くか、ということになり、遠い海(片道150km)と近い海(片道60km)どちらがよいかと問われる。
あの〜、150kmじゃ、帰ってくるまでに台風来ちゃいませんか?
と言うことで、近場の海へ行くことに。
しゅっぱ〜〜つ!!! と意気込んだのもつかの間、10分もしないウチにS氏が「海行ってもしょうがないし、山行こう!」とルート変更。
確かに、S氏と二人で夜明けの海を見て浪漫に浸ってもしょうがあるまい。
筑波山へ向けて、二台のモンキーがうなりをあげる。

夜中の筑波は真っ暗だ。
街灯もない暗闇だ。当日は台風前と言うこともあって月明かりさえもない。
本当の暗闇。
その闇の中、南側から峠道を登っていく。
この道、モンキーで走るにはもってこいの細さなのだが、とにかく真っ暗で怖い。
何が怖いって、S氏に置いてかれたらナニがいるか分からない山の中で一人というのが怖い。
しかしS氏の青モンキーはボアアップ車。体重もS氏の方が10kgは軽いだろう。
気を抜くとあっという間に置いて行かれる。
ひ〜ん、怖いよぉ〜〜〜!!!
必死に追いすがる。
暗いよ〜、怖いよ〜〜〜!!!
暗闇の中を走りながら、ふと、考える。

あぁ、なんで、オレはこんなところを走ってるんだろう?!
なにを好きこのんで夜の夜中にこんな場所に?
今頃、娘とニョウボの寝息を聞きながら、
ふかふかのベッドで布団にくるまっているはずだったのに・・・。
ナニか間違っている、ナニか間違っている、ナニか間違っている!!!

寒さと空腹で壊れていく精神。
次第に気分がハイになってくる。
「おかっを、こえ〜♪ ゆこうぉよぉ〜〜〜♪ 口笛、ふきつぅ〜つぅ〜〜〜♪」
「夜中の、筑波、まぁっくら〜♪ なんにも、見えな〜〜〜い♪」

歌いながら、コーナーをどんどんクリアして、S氏を追い掛ける。下りはともかく、のぼりは全くついていけない。
S氏もセーブして走ってくれているようだ。
しかし寒い。寒いけど、暗くて怖いけど、でも楽しーーーー!!!
うっひょう〜〜〜!!!
気持ちよく走っていると、先行のS氏が停まったので、私も停車。

どうやら、この先、こんな道だけど、行く気はあるのか?との意思確認のようだ。
もちろんオッケー。やる気満々になってきました。ハイ。
そしてココで、バイクの停めかたについて レクチャーを受ける。
こういうツーリングの場合、先頭がバイクを止めたところへ、スチャスチャと並べていくのが流儀だそうだ。
たしかに並んだらカッコイイだろう。
さっそくモンキーも並べてみる。うむ、良い。
教訓4:ツーリング中に停車したら、先頭の者にならってバイクを並べて停める。

峠のくねくねした道、砂利が多く、枯れ枝や、小規模な倒木まである。
モンキーで走っていると、なんだか往年の名作「けっきょく南極大冒険」を彷彿とさせ、自らペンギンとなってTV画面の中を所狭しと走っているような気さえしてきた。
そんなこんなで最初の撮影ポイントに到着。
とは言っても、なんにもない山道のどまんなか。
S氏がここで撮影しようと言い出す。「こんな山奥に来たんだという証に」と。

うむ、まったくもってなんにもない感じが、山奥らしくていいじゃないか。
ふとメーターを見ると、丁度3000km(+200m)。なんという偶然。

S氏が写真を撮ろうと言い出さなければ、気づかぬままに中途半端な数字になるところだった。
3000kmにはしゃぐ私。


さて、さらに走っていく。
のぼったり下ったり、とにかく走る。
峠道は濃い霧に包まれていた。先行するS氏のテールランプが霧にかすむ。
やがてS氏が停止。
看板の前にモンキーを並べて記念撮影。

いや、写真じゃわからないけど、モンキーがどこにあるのかさえ、お互い、相手がどこにいるのかさえ分からないほどの暗闇なのだ。
適当に見当をつけてシャッターを切る。
ひぃぃっ! 後ろになんか写ってそうで、コワいったらない。
そして、通り過ぎる霧の濃さよ。

12Vの私はまだしも、6VのS氏はライトが凄く暗いのだそうだ。
私ですら暗いと思っているのに、これより暗いなんて・・・。
撮影を終え、さて出発と思って暗闇の中、自分のモンキーを手探りで探しているウチに、「ズゴ!」と側溝に落っこちてしまった。
危うく捻挫するところです・・・あぶない。
教訓5:だからマグライト持ってこようと思ったのに・・・後悔先に立たず。



つづく・・・>


<< Monkeyのトップへ戻る

<< INDEXページに戻る





Copyright (c)2003 dubo All rights reserved.



[PR]動画